革職人厳選レザークラフトツール

ブラックウォッシュハンマー(BlackWashHammer)

ブラックウオッシュハンマー(BlackWashHammer)

これはアンティークウオッシュ加工のブラックハンマーです。
メタル系ハンマーはファスナー留めを軽く叩いたり、革を圧着したい時、糸目を軽くたたいて落ち着かせる時などに使うことが出来ると思います。

MIYAZOではすでにいくつかのメタル系ハンマーを店頭に並べております。
用途は同じでも各メーカー様々になこだわりを持っています。
またヘッドの形状、重さ、持ち手の形状と材質にもこだわりがあります。

例えば…
①Premiumハンマー
古代のウーツ鋼を再現した指紋の様なダマスカス模様の62積層鋼のハンマー。
重さは95gという軽さが特徴(写真のPremiumハンマーは一回り大きい自分用)
持ち手は黒檀だがココボロ材も選べる。

②メタルハンマー
これはステンレススチールを鏡面カスタム仕上げしたハンマー。
ヘッドの形状の独特な配慮と、黒檀ハンドルの形状には美しさを求める気質を感じる一品。
重さは220g

そしてこのページのメタル系ハンマー
③ブラックウオッシュハンマー(BlackWashHammer)
ステンレス鋼にネーミング通りのストーンウォッシュ加工を施した仕上げになっています。
重さは270gと少し重めながら、バランスの良さに驚かされるハンマーです。
一般的にメタル系のハンマーは「軽い」ほうが使いやすいと感じるクラフターの方々が多いかもしれません。
私もそう思っていました。
しかし叩いてみて…これは「軽くなくてもいい」と実感しております。

このブラックウオッシュハンマーの特徴はやはりヘッドの形状です。
お気付きかもしれませんがハンマーの中心からヘッドの広い面までと狭い面までの長さが違います。
広い面までは40mm程度、狭い面までは62mmほどあります。
しかし、ほとんどのメタルハンマーは中心から左右のヘッドまでの距離は同じです。
左右のヘッドの大きさや形状が違うだけです。
私はこの構造をとても不思議に思っておりました。
なぜ狭い面までの距離が長いのか?
このハンマーのサンプル画像と3Dプリンターでの試作までは左右対称なのに…。
設計変更を繰り返してたどり着いたこの形状にはきっと何かがあるとはずと。

使ってみてわかりました…この長さがいいのです。
少し長いおかげで、打ちたい場所を狙いやすいのです。
しかもヘッドが狭いのでピンポイントで叩けると思います。


ヘッドの材質は2Cr13/硬度はHRC50-52前後で申し分のない硬さです。
ヘッド広い面は23mm*23mm
ヘッドの狭い面15mm*13mm
ヘッドの長さは104mm前後。
ヘッドから柄の下までは225mm前後です。

持ち手の材質はウォールナット(黒胡桃)
ヘッドの一つ一つが職人の手作業によりご使用には問題ない程度にまで磨き上げられています。
ただし完璧な鏡面ではありません。
ほんの小さな小さな凹みや傷がみれらることがあります。

なぜでしょうか?
このヘッドはまず鋳造で形作られています。
鋳造品ですので磨き前の見た目は同じでも磨き加工の途上で鋳巣が見えてくることがあるようです。
この製造方法は歩留まりが悪く約60%に何らかの小さな鋳巣が生じるようです。
ただし実際にはすべての構造材料にはこうした「きず」があります。
特に鋳造品は鋳造という加工工程上,どんなに精緻に造られたとしても外面あるいは内部に微小な「きず」が存在しています。
ただし使用には全く問題ありませんので安心してお使いいただけます。

(注)もし曇り一つない鏡面をお望みの場合は…粗目の紙やすりから始めて徐々に細かくし
 最後に革砥の上でヘッド擦って磨き上げることが出来きるかもしれません。

これら3つのメタル系ハンマーを見比べてみると、用途は同じでもメーカーの違いによる個性が現れていることがはっきりとわかります。
特にヘッドの形状が全く違います。
柄の長さも材質も…やはり個性的なメタルハンマーたちです。

それにしても、 Premium CompassもディバイダーミニPlusもそしてレザークランプも仕上げ方法が同じであることに気が付かれることでしょう。
これはブラックウォッシュ仕上げとも言われることもあるようです。
いずれにせよ道具マニア心をくすぐる仕上げであることに間違いはありません。
参考写真を見ていただくとわかると思います。
夜は大きな音が出せないので、こうした仕上げのツールは酒の肴にもってこいなのです。

それにしてもストーンウォッシュ加工の作業風景とはどんなものなのでしょうか?
例えば…こんな記述を見つけました。
「ストーンウォッシュとは、ジーンズの中に石(天然軽石など)を入れて、ワッシャーで洗う加工方法。軽石を混入した液で洗うことで、ジーンズをはきこんだ風合いをだす加工技術。
石のかたちや大きさによって、色落ち、柔らかさなどが変わる。」とありました。
また調べてみると「ストーンウォッシュナイフ」というのが結構あります。

YouTubeでストーンウォッシュで検索すると石洗いの方法が見れます。
なるほどなぁと思います。
大小様々な石やセラミックが放り込まれた液体鍋の中に、事前処理を施されたナイフを放り込んでその鍋をモーターで回すみたいな。
何分か何時間か回した後にナイフを取り出すとすでに何年も使い込まれた感のある艶消しのナイフに変化しているのです。
カッコすぎるのはこの一手間かかる工程の結果だったのです。
ですからストーンウォッシュについて調べるとその言葉の意味が良くわかります。

いずれにしても個性的なツールを見つけて所有できるというのは、革道楽/道具道楽を自称するMIYAZOにとっては本当に幸せなことだと思います。

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