YORKSHINEヘリ落としM390 Japanese/Style(ラウンドタイプ )2-4号
YORKSHINEヘリ落とし M390 Japanese-Style(ラウンドタイプ )
切れ味と長切れに定評のあるYORKSHINEのヘリ落としですが、
素材がDC53→M390に変更になりました。
メーカーの意図が気になる所です。それですぐに社長にメール。
するとすぐに、「M390は粉末冶金鋼系(Powder Metallurgy Steel)の鋼材であるゆえに、
通常のステンレス鋼に比べて硬度が高く耐摩耗性に優れていることや、全く錆びないなどの利点があるので採用に踏み切った」と教えてくれました。
刃物の長切れということに着目したのだと思います。
安い鋼材ですと、せっかく研いだのにすぐに切れなくなるということはよくあります。
研ぐのが億劫でないならいいのですが、製作の途中で切れなくなることほど切ないものはないです。
YORKSHINEの社長も指摘していましたが欠点は、鋼材の価格が高いことと、研ぐ時間が少しかかるとのことです。
MIYAZO的には研ぐ時間が少しかかるといっても気になるほどではありません。
数年前に次のように記載しましたが残しておきます。
「友人のつてでこの新たなブランドを紹介された時は、正直少し不安に思いました。
ただしサンプルを手にして、すぐにMIYAZOで扱えないかと願っておりました。
YORKSHINEは次々にレザークラフト業界に参入してくる若い道具屋たちの中でも頭一つ抜けていると思います。
もっと酷な(クールで美しい道具の意)を持ちたいというクラフターたちの意見を巧みに取り入れつつ、見た目だけではない自分の信念を貫く精神を持っています。」
前置きが長くなりましたが…
MIYAZOはYORKSHINEに対する絶大な信頼から、この日本では無名ブランドのほとんどの商品(ラインナップ」を導入することを決定しました。
それから数年が経ち多くのレザクラの方々がこのメーカーのツールを手にするようになりました。
切れ味に関して…期待以上だと言えると思います。
もちろんJeymeも申し分がないです。
(参照写真、MIYAZOインスタ、下記リンクからのビデオクリップを参照してくださいませ)
切れ味もさることながら、全体的に美しいです。
(写真からも推測していただくことができると思ってます)
その美しさに貢献しているのが持ち手の天然素材ウォールナットです。
この木材について次の書き込みを引用したいと思います。
「チーク、マホガニーと共に世界三大銘木のひとつに数えられるウォールナット。
紫色を帯びた深い暗褐色の美しい木目は世界的に評価が高く、高級材の代名詞となっています。…この材は、その美しさや品質の良さから、古くから家具やライフルの銃床など様々な用途で用いられてきました」
美しい理由がこの説明からも推測できます。
YORKSHINが今回のtoolの持ち手に天然素材ウォールナットを選んでいることには訳があります。
素材の安定性と均一性から考えると黒檀です。
しかし、黒の木目が目立ちにくいので個性にはやや欠けます。
Jaymeはココボロのグリップですが、素材の模様が独特で均一の模様がありませんので、個性が強すぎると感じる方もいらっしゃるようです。
(私はココボロ大好きですけど)
SINCEが採用しているエンジニアリングウッドですが、これは木材に樹脂を流し込んでいるので製造過程における安定性に寄与しています。
そうしたことを総合的に考慮し、YORKSHINEは天然素材ウォールナットを採用しています。
ですから…個性がありながら、個性が強すぎることのない優しい素材と言えるかもしれません。
Japanese-Styleの特徴は、刃先の底面が丸い処理なので、コバも丸く落ちるということです。
もちろん0号1号の細いサイズですと丸いのかフラットなのか見分けが難しいかもしれません。
2号サイズ以降のヘリ落としなら違いがはっきりとわかるようになると思います。
往々にして刃先底の溝が深い丸ヘリ落としは、コバを落とす時に銀面側に薄く線が薄く引かれる(傷が残る)ことがあります。
それを避けるために、刃先底が浅い設計の丸ヘリ落としの効果は、フラットに近い仕上がりになります。
これは文章で説明するのが難しいので、挿絵を参照してみてください。
(ヘリ落としの刃を正面から見たところです)
ここにYORKSHINEのこだわりがあります。
簡単に説明すると、革の断面は基本的には90度です。
YORKSHINEのJapanese-Styleヘリ落としは98度の設計です。
つまり左右に4度のゆとりがあるので、銀面に傷が付きにくいということです。
(マニアック過ぎる説明です)
いずれにせよ、刃先の底が丸くなっているタイプは、刃元から口金に向かって溝が掘ってありそれがガイドになり、安定してすっ~とコバ落とせます。
刃先の研ぎ方に関して。
どんな設計や鋼材を用いていても、刃物の切れ味は必ず鈍くなります。
ある有名なクラフターさんの動画を見てそれ以来参考にしていますが、縫い糸に青砥を擦りこんで(いわゆる青砥糸)で刃先を研ぐという方法です。
これは素晴らしい方法です。
謝辞:惜しげもなく裏技を教えてくださったり、動画にしてくださる先生方に心から感謝しております。
Jaymeのヘリ落としで推奨している方法も試す価値があります。
いずれにしても、こうした方法は刃先を無駄にすり減らすのを避けられます。
切れが鈍ったなぁと思ったら、すぐに厚紙砥、青砥糸を使って…刃先を整えることで、道具を長持ちさせられると思います。
鈍り過ぎた道具を研ぐことほどに疲れることはありませんからね。
0号は1.0mmの革厚
1号は1.8mmの革厚
2号は2.5mmの革厚
3号は3.0mmの革厚
4号は4.0mmの革厚
当時無名に近いYORKSHINEでしたが、社長とも長いお付き合いになりました。
マルチ研磨板コラボはMIYAZOのみでしか手に入りません。
またYORKSHINEの設計理念に対しての敬意をもっております。
所有欲さえ満たすヘリ落としを皆様のLeathertoolのラインナップに加わえていただければと思います。