YORKSHINE Tシリーズ 菱錐/ヨーロッパ錐/丸錐
YORKSHINE Tシリーズ 菱錐/ヨーロッパ錐/丸錐
この独特の形状を見た時…革道楽MIYAZOは心がときめいてしまいました。
一言でいうと…とにかく欲しいみたいな。
そして、どうしてこの形状で設計してたのか尋ねてみたいと思うのです。
ヨーロッパの職人の中には目打ち使わないという方もいます。
MIYAZOのお客様の中で…次のような職人さんからのお問合せがありました。
「私は通常は菱ギリを使用して糸の太さによりキリの幅を使い分けています。
このキリが自分にとって最良のサイズと考えている為、このキリの刃幅に合う目打ちを探している最中です」とありました。
そこまで追求しているなんて…すごい人はまだまだいると驚いた次第です。
エルメスの職人さんが馬具を作っている動画を見たことがありますが、錐を手に持って、穴あけと同時に縫いながら糸を進めていました。
ただただすごいと感心するばかりです。
こんなに迷いもなく…すらすらと縫っていくなんて…と。
YORKSHINEのTシリーズ菱錐も、そうした手に持って穴あけと同時に縫いながら糸を進めるクラフターの方を念頭に置いて設計したとお聞きしました。
もちろんTシリーズも菱錐、ヨーロッパ目打ちにはヨーロッパ錐が対応いていますので、通常の方法でも快適に穴あけができます。
厚く重なった革の部分に目打ちで打つと、穴が大きくなりすぎて、ほかの穴目と均一ではなくなります。
これが菱目のデメリットだと思います。
パーツが重なり合う大切な部分に大きな穴が開いてしまうのです。
特に火造りの菱目打ちは、刃の先から3-4mmを越えるあたりから太くなる傾向にありますね。
日本でよく見かける安価な菱錐は力が入りにくく、それほど鋭くありません。
おそらく道具は使う職人が仕立てるという考え方が基本的にあるのかもしれません。
このTシリーズの菱錐は…細身だと思います。
特にヨーロッパ錐は少ししなる感じがしますが、刃が鋭いのですっと革に入ります。
冷間ダイス鋼 DC53のり鋼材を使用していますので、切れ味と耐久性に優れています。
私がを好むようになったのは、持ち手の部分の形状が小さめなので、手の平にすっぱり収まる形であることも理由の一つです。
そのサイズについてですが、持ち手の長さは菱錐、ヨーロッパ錐、丸錐ともに65mmです。
刃丈ですが、菱錐、ヨーロッパ錐は18mmで、革の穴あけのために少し短めの設計です。
丸錐の刃丈は約28mmで、主にケガキ作業を念頭にしてありますので、少し長めの設計となっています。
菱錐、ヨーロッパ錐はサイドまで鋭利な刃が付いていますので、手に持って穴あけと同時に縫いながら糸を進める方なら、この刃先の鋭さが病みつきになるかと思います。
力を入れずに穴が開けられますので、逆にけがの防止にもなると思います。
今回は仕入れの制限もあり、多く仕入れることが出来ずに申し訳ないです。
次回は何とか頑張ります。