革職人厳選レザークラフトツール

YORKSHINE New.Sシリーズ菱錐/ヨーロッパ錐/丸錐

YORKSHINE  New.Sシリーズ 菱錐/ヨーロッパ錐/丸錐

Sシリーズの錐が新しくなりました。
菱錐/丸錐/ヨーロッパ錐が2サイズ(2.0mm/1.8mm)になりました。
2.0mmは3.38/3.85など刃幅2.0mmに対応しています。
1.8mmは2.7/3.0mmなどの刃幅に対応しております。
また深く刻まれたlogoが入りました。
どのタイプの錐を使っているのか区分けをはっきりする為です。
置いても転がらないように柄の一部が平らに加工されていますのが
置いた時にlogoが見えるという気の利いたデザインです。

レザクラのBible「手縫いの真髄」には…
「菱錐を革で付いたとき、抵抗なくスーと刃が革に吸い込まれるようでなければいけません。…そのために正面からみると指先のようで、側面からみると先端部分が鋭い刃に仕上がっていることと、刃先から2cmくらいの正面が、鏡のように磨き上がっていることが必要です」とあります。

安価な錐は革を突いた時に、すーっとではなく、ぐさっみたいな音がします。
試しに突き刺した時にどんな音がするか…どうぞ耳をそばだてて聴いてみてくださいませ。
ここがポイントだと思います。
「真髄」の本には、菱錐の研ぎ方もレクチャーされてますので、大いに参考にすることができます。
仕立てに関して別の問題が発生することもあります。
MIYAZOの場合…木のハンドルが汚れることです。
日本の刃物の多くの柄は無垢の木材を使用していますので、汚れるのは仕方のないことで、手垢は進歩の証みたいな味わいを感じます。
しえし昨年ココボロのハンドルを見つけて…すぐに交換いたしました。
もちろん汚れというより、柄がすっぽりと掌に入るタイプが自分には合っていると理解が深まったからです。
掌で包み込み、指先で位置決めして軽く押し込む感じ。

しかしこの丸い形状の持ち手には、ほんの少し問題があることに気が付くわけです。
つまり転がりやすく、作業スペースから床に落ちてしまうことがあるということです。
(これはエッジャーでも同じかもしれません)

そういうことはありませんか?
それでコルクを切り欠いて枕にして使ったり、錐専用の収納ケース(写真)を作ったりといろいろ試みております。
ただし、製作中はただでさえ乱雑になりやすいので、少なくとも転がらない設計がいいかと。

最近はそういうハンドルを多く見かけます。しかもかっこいいのです。
持ち手の平行に平面があるという優れものです。
欲しいなぁと思ってしまいます。

YORKSHINEのSシリーズは、まさしくそういう設計です。
しかしハンドルの一面のみに平らな部分があります。
MIYAZO的には…そこに美しさを感じるわけです。
YORKSHINEのシリーズの美しい持ち手のデザインを損なっていないからです。
しかも、立てることもできます。

刃先に関しては何と言えるでしょうか?
すでに鏡のように磨き上がっていますので、自分で研ぐ必要はありません。
下ろしたての時からぐさっという音がしないのです。
これは感覚の問題かもしれませんが、すーっと入ります。

このYORKSHINEのSシリーズの錐はTシリーズ(65mm)ほど小さくはありません。
柄の長さは80mmです。
これは使い方(手に持って縫い進める方など)と好みの問題かもしれません。
聞くところによると、手の大きい人にとっては、Tシリーズは小さすぎると感じる方もいらっしゃるようです。

刃先の長さと刃幅について。

菱錐約19mm/前後刃幅はどこを測るで違いますが、持ち手の根元は2.7mm位です。
刃先から3mm位のところで1.9mmから2.0mm。
ヨーロッパ錐の刃丈は15-17mm/刃幅は持ち手の根元が2.0mm。
刃先から3mmくらいの所は1.9mmくらいです。
丸錐は長さ約30mmです。

刃丈のサイズは変更になることがあります。

冷間ダイス鋼 DC53の鋼材を使用していますので、切れ味と耐久性に優れています。
もちろんSシリーズも菱目打ちには菱錐、ヨーロッパ目打ちにはヨーロッパ錐が対応いています。
結局のところ、菱切りを仕立てると刃先の形状がヨーロッパ錐の形状に近くなるというのは興味深いことです。
真髄の本が述べる「正面からみると指先のようで、側面からみると先端部分が鋭い刃に仕上がっている」という状態がYORKSHINEのヨーロッパ錐に当てはまるような気がします。

鋭い錐は、なくてはならないtoolだと…最近ますます思っています。
「革の表面が均一に切れることが必要です。…(そうでないと)作品の仕上がりも雑になってしまいます」というのが矢澤十四一さんの教えだからです。

確かに厚く重なった革の部分に目打ちで打つと、穴が大きくなりすぎて、ほかの穴目と均一ではなくなります。
パーツが重なり合う大切な部分に大きな穴が開いてしまうのです。
特に火造りの菱目打ちは、刃の先から3-4mmを越えるあたりから太くなる傾向にありますね。
これが菱目打ちだけで穴を開けるデメリットだと思います。

日本でよく見かける安価な菱錐は力が入りにくくそれほど鋭くありません。
力を入れ過ぎてぐっと突き刺すと、逆に深く入り過ぎて目打ちのそれと同じになることがあるのではないでしょうか?
「真髄」の本が指摘する゛仕上がりが雑になる゛というのはこういうことなのかもしれません。
もちろん、錐を突く時のコツとか角度とか…クラフターの作風や好み、独特の技術によって幅があると思います。
錐の刃とグリップの形状や大きさは作業する上での重要な要素になると思っています。

YORKSHINEの菱錐、ヨーロッパ錐はサイドまで鋭利な刃が付いていますので、手に持って穴あけと同時に縫いながら糸を進める方にとっても、この刃先の鋭さが病みつきになるかと思います。
力を入れずに穴が開けられるということは、力加減を制御できる錐ということになるかと思います。

今回も仕入れの制限もあり、多く仕入れることが出来ずに申し訳ないです。
この業界にもいろいろな「しがらみ」みたいなものがあるようですので、そのルールみたいなものを尊重したいと思います。

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