カスタムハンドプレス/wood base
カスタムハンドプレス/wood base
(ウンチクが超長いので辛抱して最後までお読みいただくことを希望します)
こんなマニアックなカスタムを小売店がするはずがないと思うMIYAZOです。
かつて車やバイクの改造に夢中だった時代を思い出したかのような、アタッチメントと部品探しのオタク作業の結果…完成したのがこちらのカスタムハンドプレスです。
実はお客様からのご相談がきっかけで深く考察するようになったハンドプレス機。自分でも使ってはいましたがそれほど気にしてはいませんでした。こんなもんだろうなぁと。
割と深刻な騒音問題…
これはレザークラフトとは切っても切り離せない問題です。特に日中はお仕事、帰宅してからレザークラフトという掛け持ちの方にとっては死活問題ではないでしょうか?しかもせっかくお買い求めいただいた目打ちの価値が半減しているとなると、もう残念で仕方がないのです。
MIYAZOも木造アパート暮らしの時から今日に至るまでこの問題に頭を悩ませてきました。
騒音対策としてはいろいろな方法があるかと思います。以前は厚みのある切株とかコンクリートブロックを膝の上に載せて打ったりしていました。
それでも家族からは「遅いからもうやめて」と苦情を言われていました。「あともう少しなのに…少しくらいいいじゃん」言い返したくなる言葉を噛みしめて。
最近効果的だなぁと思っているのはショックレスハンマー。打刻の感じが…フワッという感じですが、慣れたらそれほどは気になりません。
ただしカチッと叩くには物足りないです。将来的には農村の古びた一軒家に引越ししたいと思ったりもします。
しかもコロナ渦になってからstay home。
レザークラフト業界としては嬉しい反面、クラフターにとってはある意味困ったものです。こうなると…音や振動が極力出ない装置が必要になるのかもしれません。
上記のお客様にはハンドプレスという装置があることをお伝えしました。そうしましたら…実はハンドプレス機(3万円前後)をすでに購入済とのこと。ですが使いづらいと…
◆それで使いにくい理由を考察してみました◆
①ツール取り付け部のセンターからの奥行きが狭すぎること。
ある機種は何と3cmしかありません。
奥行にはある程度の広さと自由さが必要です。
実は同じ機種の改善版はその奥行きの狭さを改善するアタッチメントになりました。
②高さの調整の煩わしさ。
多くは単に支柱に二本のネジで固定するタイプです。
無段階調整が出来そうですが、高さ決めが難しいです。
この点を改善するために、支柱に穴が開いてそこにボルトを通すという設計があります。素晴らしいです。
これなら力を加えた時に高さがズレることはありませんが無段階調整は不可です。ボルトのみの固定のみですと刻印を打つ場合などレバーを強く何度も下げた時に、ヘッドが動いてしまい力がツールに伝わらないことがあります。
③ドリルチャックにツールをいちいち挟む必要がある。
もうこれが最大の理由ではないでしょうか?
しかもチャックに挟めないツールも多くあります。
しかしながらツールを固定する利点もあります。
それは垂直に穴を開けられることだと思います。
0.5mm-1.5mmくらいはそれほど気にしなくてもいいのかもしれません。ただしそれ以上の厚み(例えば4.0mm以上)なると手打ちですと垂直が難しくなります。このようにプレス機に固定するほうが一定の角度(直角に)で打てます。
一定の深さに打つこと、これは勘と経験ですね。
④装着すると位置決めが難しい。
チャック式のマイナス点は仮に装着できたとしても位置決めが難しいことだと思います。これはMIYAZOが感じる最大の使いにくい理由です。
このことは通常ハンマーで叩く時のことを考えると分かりやすいかもしれません。
例えば…目打ちを使う時には、開けたい場所に刃を合わせてからハンマーで叩きます。ポンチも刻印も同じで、まずツールを革に当ててから叩く感じだと思います。
ドリルチャックでツールが固定されている場合にはプレス機のハンドルをギリギリまで下ろして革を動かして位置決めしなければなりません。
これがなかなか決まりません。時間もロスしますし、失敗も多くあります。多くのハンドプレス機はほぼ固定式なので、ハンドプレスは固定式しかないと思われがちです。
よく考えてみるとハンドプレスの上下可動幅は5-6mmで十分なのかもしれません。革厚が薄いならもっと少なくて済むのかもしれません。
ツールが固定してあると、クリアランスなども考慮をしベースと刃先の間にある程度の距離が必要です。そうしないと革をセッティングする時に銀面に傷が着く恐れがあります。
しかもクリアランスが広ければ広いほど、ハンドルを大きく動かす必要があります。一般的にはハンドルは垂直に近いものから後ろ向きに斜め60度近いものもあります。
またギアとバネで動きが構成されているハンドプレスの場合は、垂直に近いハンドルを手前に強く動かすと本体が浮いてしまうことがあります。本体後部が浮かないためにはヘッドを押さえてあげる必要が出てきます。
基本的にはツールをチャックに固定する必要はないというのがMIYAZOの意見です。でもチャックに固定しないと一定の角度で打てないのでは?特に厚みのある革に打つ時は曲がりがちなので固定したほうが真下に静かに開けられるのでは?
通常の手打ちではもう感覚で垂直に打てているということがあります。しかしそうした一流のクラフターでもミスをすることがあると思います。
もしかしたら言えることは目線」かもしれません。
直角に打てるかどうかはどの角度でツールを「見るか」かもしれません。目打ちを正面に見るか、側面から見るかではないでしょうか?
薄い革なら感覚で、目打ちを正面から見ても直角に打てている感覚になります。厚めの革なら、目打ちを側面から「見れば」直下かどうかわかります。
ただし目打ちを側面から見て作業するためには奥行きが必要です。また立ち上がりの支柱が広すぎると鞄のパーツなどを斜めにも入れられないかもしれません。
もちろんポンチなら開ける前に正面と側面を見て直角かどうか確認すればいいだけの話かもしれません。
特に難しいのは一定の深さに打つことかなとも思います。一定の深さに打てれば、裏面も美しい縫い目になります。
それで一定の深さに打つためには、ハンドルがこれ以上下がらないように事前に調整するストッパーが必要なのです。
手作りハンドプレスにこの機能を持たせることはかなり難しいと思います。というか手作り木工のハンドプレスでストッパー仕様は見たことがありません。
木工の美しい仕上がりプレス機もあるのは事実ですが…。また既製品でもストッパーが付いているものもありますが…実は使えないのが実情です。
実は失敗を何度も繰り返し、このハンドプレス機にたどり着きました。
◆カスタムハンドプレス/wood baseの特徴について◆
カスタムハンドプレス/MIYAZOをお買い求めのお客様や
ご購入を検討されているお客様のご意見を参考に、幾つかの備品を省きました。
例えば…
ドリルチャック(ほとんど使わない)
HPヘルパー(全く使わない)
PPボードを2枚使うことがない
大きな変更点は、アルミ製の土台からMIYAZOオリジナルのウッドベースにしたこと。
これには理由があります。
PPボードの上で作業しているつもりが、革材料の下にあり見えなかったために
目うちの刃をアルミの土台に直接当たり折れてしまったというケースを
報告していただいたから。
集積材のウッドベースなら、万が一の時にも安心ですし、
アルミの土台より一回り大きくなってます。
30mm厚の集積材を使用していますし、プレス機本体にしっかり固定しておりますので
動いたりたわむことはないです。
※省略した備品よりもウッドベースの製作取付に時間を費やしております。
備品の中に8MMネジを取り付けられるアタッチメントを入れてあります。
ドリルのチャックを装着したい方の必要に合わせています。
ドリルチャックが必要な方はご連絡いただけますと、ご準備いたします。
MIYAZOは楽にヘッド高さを調整するため、ハンドルを写真のようなつまんでぐるぐる回すツマミにカスタマイズに変更はありません。
ハンドルが2段回で調整できます。
この調整機能も痒いところに手が届く特徴だと思います。多くのハンドプレスは持ち手は垂直か後ろに倒れているものが多いです。
このカスタムハンドプレスは持ち手の角度も調整できます。調整方法も動画にしてアップしてあります。(こちらは自己責任でおねがいしております。)
また出荷時はヘッドの右側にハンドルが装着してありますが、ヘッドの左側に装着することも可能のようです。(こちらのカスタマイズもご自身の責任でお願いします)
参考にしていただきたいのは、革に穴を開けることがメインなら上下に動くストロークがなるべく小さい方が効率がいいですし疲れません。出荷時は手前に170度ほどの角度でハンドルをセッティングされています。このことにより可動幅を少なく出来ますし、力が逃げることを防げます。
(ハンドル角度の調整方法は動画参考になさってみてくださいませ)
このカスタムHPの使い方、toolの装着方法、設定の仕方は動画をご覧くださいませ。
メインアタッチメントのサイズは円の直径が62mm、厚みが20mmもあります。基本的には軸の中心にツールを当てると力がうまく伝わります。
ただしどこに当ててもびくともしないほど安定してます。
ヘッドの高さ調整のためのボルトにはレバーが付いています。これで簡単にヘッド固定ボルトを回すことができます。いちいち六角ナットを引っ張りださなくてもよくなりました。調整する時にこのレバーを回して緩めたり締めたりできます。
上下のレバーに干渉する場合はどうできますか?
そのような時は引っ張ってください。MIYAZOも使い方が分からない時はダメじゃんと思いましたが勘違いでした。
次に高さそのものの調整はそれ専用のつまみを回して上下させます。実はこのつまみもカスタマイズしている部品です。その後、高さ固定のレバーを締めてくださいませ。(専用のネジを回して上げ下げできるので微調整がかなり楽です)
※硬質ゴム板が少し歪んでいることもありますが、ご使用にも問題ないことを確認しております。
深さの微調整のストッパーのボルトが付いています。
このストッパー機能がMIYAZOカスタムの鍵です。
カスタムに妥協がないのはなぜでしょうか?
自分が普段使っているからです。恐らくまだまだカスタム化は進むと思います。
動画でも多少ご理解いただけると思いますが、簡単にストッパーの調整できますので、目打ちが深くささらないように、一定の深さで穴を開けるのに役立ちます。穴の開き方が均一ですと縫目のリズムや安定感に大いに寄与します。
またストッパー機能により、ハンドルを思い切り下げても深く刺さり過ぎないという利点があります。ヨーロッパ目打ちが抜けが悪いと言われることがありますが、もしかしたら深く刺さり過ぎということもあると思います。
ストッパー機能が「役に立たない」、あるいはそもそも「ない」ハンドプレスの場合には手探りで深さを感じながら開ける必要がありますが、このカスタムハンドプレスはこの点が全く異なります。
カスタムハンドプレス機は心地良い使いやすさを追求しています。かなりマニアックなカスタムを施しておりますので、似たようなハンドプレス機を単に購入したとしても、この使い心地に到達するにはかなりの時間と費用がかかるかなと思います。
こんなに面倒なことを追求するより作品作りに時間を割いていただきたいと思います。
ハンドプレス機にこれほどの情熱を注げるのはワタクシ、オタクだからでしょう。
重量は12kgになります。
細かなパーツを多方面から手に入れるのが難しいので限定販売にしております。
また予告なしにパーツの仕様変更が生じますが、機能に変化はありません。
本体の主要部分の溶接部分などに欠けているように見える場所があることが報告されています。
本体の強度やご利用には影響を与えない部分です。
メーカーとこの部分の品質について話し合っております。
この現象は曲げ加工した鉄板に溶接する過程で生じるもので、こうした凸凹はどのプレス機でも少なからず発生するとのことです。
溶接研磨後に再度仕上げると生産費用がかなり高くなるので製造過程での仕上げ品質とお考えくださいませ。
仕上げ品質に関しては、プレス機械という立ち位置であることをご理解いただきたく思います。
ただしこうした部分の品質に関しても良いものをご提供したいので、仕入れの際には口を酸っぱく見栄えの良いものを選んでくれるようにお願いしているところです。
配送方法はゆうパックでお送りします。
箱の痛みを気にされる方はご遠慮くださいませ。
元箱でお送りしております。
いずれにしてもハンドルの角度調整のために分解して確信しました。
わざと無理に力を入れても折れることはないと思います。
またこのハンドプレス機は世界各地に輸出されていますので品質は折り紙付きです。
コンチョなど力を要するものを成形したい方にはALL-2000というハンドプレス機をお勧めいたします。