Mecha roller (メカ・ローラー)
Mecha roller (メカ・ローラー)
今回入荷したのは、メカニカルなツールを生み出しているNattoolsさんの商品。
MIYAZO独自にMecha roller(メカ・ローラー)というネーミングを付けさせていただきました。
道具オタク的には、"よくぞこんな形状を設計してくれたものだ"という驚きです。
使った感じはメカニカルなだけではないです。
力が入りやすいです。これがこの設計の狙いなのかもしれません。
このメーカーはいつもそうです。
本体そのものはSUS304のクロムとニッケルを成分に含むオーステナイト系ステンレスです。
持ち手にはブラックオールナット材を採用しています。
天然木なので、木の節目や加工時に出来てしまう小傷があるかもしれません。
この点で宮蔵はしっかり点検して商品をお出ししております。
この点でのご理解に感謝します。
大体のサイズですが…
ローラー部 直径32mm*長さ60mm
全体のサイズは70mm*140mm
重さ630g
以下はローラーに関するMIYAZOの考察です。
“ローラー”このキーワードから連想されるものは何でしょうか?
「圧着」です。
経験上、圧着の工程をするかしないか…テキトーに済ませるかで後々の仕上がりに影響すると思っています。
それでクラフターのBible「手縫いの真髄」の一文を引用させていただきます。
「革と革…をのりで貼り合わせた時には、必ずローラーで圧着しましょう。ローラーを使うと、ムラになっているのりを平に伸ばし、強く圧着することができます」
確かにその通りなのです。
このバイブルの初版は昭61年ですが、やるべきことは変わってはいません。言えることは…きちんと圧着することは基本中の基本なのです。接着剤は、貼り合わせて圧着して初めて強くなるという特性があります。
圧着の道具はいろいろあります。
叩き系のハンマー、挟み系のペンチ、転がし系ローラーです。それぞれ使い方や特質が違います。
例えば、ハンマーはピンポイントを狙える感じです。
ペンチは…コバの部分の圧着です。長めのコバでもずらしながら圧着できます。ちょうど芯入りの鞄の持ち手の圧着をする感じと言えばわかるでしょうか?
ローラーはどうでしょうか?
ローラーの出番としては思い起こすのは…メタルハンマーなどは叩ける範囲が狭いので、広い範囲をベタ貼りしたい時に使うと思います。
この場合は適度な重みがあり、幅の広いローラーが便利かもしれません。広い面積の圧着の場合、均等に力をかけないと貼り合わせたある部分が時間と共に浮いてくることがあります。貼ったばかりの時にはこのことに気が付かないものです。
ローラーで平面を慣らす感じかもしれませんが、単に革の上を転がしているわけではありません。しっかりとしたローラーを使えば圧着強度が上がり、作品の耐久性も向上すると思います。
広いもので70mmとか120mm幅も見かけることもあります。当然ですが幅が広くなり重くなれば値段も高くなります。
ちなみにMIYAZO的には二枚貼り合わせの鞄の持ち手などは40mmもあれば十分だと考えています。
以前浅草橋で買った日本製のローラーは35mm幅で約336gでした。(一般的にはこれでも十分なのですが…)
最近いただいたオーダーで、革2枚貼り合わせのランチョンマットは420mm*280mm10枚。
ローラー幅が狭いと圧着するために何往復もしなければなりません。しかも何より均一に圧着することが難しいと感じました。またボンドは薄塗りだとしても多少はデコボコしますのでローラーは幅が広く重い方がいいです。
道路整備でアスファルトを固めているロードローラーのことを考えてみるとローラーの大切さがより深く理解できます。ローラー部分は鉄輪とも言うようです。大きさにもよりますが8t-14tもあるようです。ロードローラーでしっかりと地面を固めることにより強度が飛躍的に向上しているはずです。
レザクラの人が使うローラーも同じ理屈だと思います。
2枚あるいは3枚を張り合わせる作業は簡単に見えるかもしれませんが、基礎固めとしてとても重要だと言うことです。
元箱はMIYAZO発送部にて修正しておりますが、箱のクレームはお受けできません。
箱はどうであれ、レザクラの人が開けた時にどう感じるか楽しみでもあります。